弱視とは・・・
眼球に病気がないのに充分な視力の得られない状態で、これは視力の成長期(生後からおおよそ6歳ぐらいまでと言われます)に何らかの原因で視力が成長しなかった場合に起こります。
眼は2つあるため、片方が見えていない場合にも日常の行動に支障をきたすことはあまりないのですが、小児の場合見えている方の眼に頼ってしまい、反対の眼を使わなくなることで、その眼の視力はますます育たなくなります。
例えば、殆どの人は左手の機能は右手より劣り、右手では上手に字がかけるのに、左手では書けません。左手が怪我とか麻痺に陥った為でもなく、何の病気もないのに右が利き手になっているということで、手ではこれが当たり前です。しかし、眼では手のような利き目が出来ては困ります。この状態だと立体感覚も育たなくなるため、将来2種の運転免許は取れなくなります。
その上、利き目だけが働くようになると斜視も生じます。弱視の発生は乳児・幼児期に起こり、少なくとも10才以前に手を打ちませんと後からの視力の発達は望めません。大切なお子さんの眼を守る責任と義務は御両親にあるわけです。
(1)視性刺激遮断弱視
乳児期に不用意に片目だけを閉じた状態におくと物を見ていた目だけが、利き目になってしまう弱視です。例えば怪我をしたり、めぼができて、片目が1日も閉じていれば起ってしまいます。だから乳児期には不用意な眼帯の使用は禁物で、閉じておく必要があれば、両眼を閉じるか、後日に反対眼を閉じてやることが必要となります。これは脳が発達段階にある時期に起こる弱視です。
(2)遠視による弱視
幼児期はおおむね遠視です。両眼の遠視が同程度ですと問題はないのですが、遠視の程度に左右差がありますと、遠視の軽い眼が利き目となって、強い方の目は弱視になります。そして斜視が発生します。同様のことは乱視でもおこります。
対策は適切な眼鏡を使用させて、利き目の発生を防ぎます。また弱視が発生している場合には、健眼遮蔽といって利き目の遮蔽を行って、弱視眼の能力の回復に努めます。これらの治療は4~6才に行う必要があります。10才以後では手遅れです。3才時検診や入学時の検診はこうした弱視の発生の早期発見の手段として、非常に有意義です。
斜視の発見方法
先に弱視で斜視の起ることを述べましたが、お子さまの顔を見ていて「斜視ではないか」と心配になることがありましょう。そこで簡単な斜視の発見方法をお教えいたします。
(1)カメラを用意してください。
(2)お子さまの顔をアップで撮影してください。両眼のみが写る様なアップが理想的ですが、そこまでしなくても結構です。
(3)写真をよくみてください。
(4)見方の要点…角膜の中央付近に見られる光の反射に注目してください。
光の反射点が両眼の角膜の同じ位置にあれば斜視ではありません。
しばしば、両眼のへだたりが大きいとか小さいとかで判断しがちですがこれは間違いです。角膜の光の反射点で判断してください。