診療設備:診断装置

光学的診断装置

○走査レーザー検眼鏡: HRA2 (ハイデルベルグエンジニアリング)
蛍光眼底検査は糖尿病網膜症や加齢黄斑変性などの眼底疾患の診断に必須のものですが、撮影装置も以前の眼底カメラを使用するものから大きく進歩しています。 HRA2は照明にレーザー光を使っており、フラッシュを使った以前のカメラよりは撮影時のまぶしさも軽減されており、またレーザー光が通常光より透過しやすいことと、複数枚の画像から合成画像を作り解像度を上げる機能も搭載しており、白内障や硝子体混濁など眼底観察の障害になるものがあっても従来の機械に比べてよりきれいな画像が得られます。加齢黄斑変性など網膜の深い層の病気の診断では2種類の造影剤を使って、2種類の造影検査(FA・IA)を行う必要がありますが、この機種の場合造影剤を混ぜて一度に静脈注射し、同時に2種類の造影画像を得ることができますから、検査が1度ですみます。また走査レーザー検眼鏡の特徴で、カメラから一定の距離にピントを合わせて、その前後の画像情報を除外し、目的の層の画像のみを取り出すような使い方ができますので、同じく網膜の深い層に病変がある疾患の診断に非常に役立ちます。大学病院など加齢黄斑変性などの治療を行う大きな施設では標準的に使用されている機種です。
○光干渉断層計(OCT) RS-3000Advance(ニデック)
眼底検査では網膜を表面から見ることができるのみ(飛行機から眼下の地形を見るような状態)で、そこから網膜の地形の高い低いを把握することには高度な技術を要しました。 OCT装置が登場して、横から網膜の断面をみることが可能になり、地形の高い低い(=網膜が腫れている、あるいは神経線維が減って薄くなっている、など)が明瞭にわかるようになり、今や眼科診療の必需装置となっています。 当院では現在主流になっている、撮影スピードが高速で、解像度も高いスペクトラルドメイン方式の機種を以前から導入しており、糖尿病網膜症などによる黄斑浮腫の定量、緑内障の補助診断など、毎日の診療に大きく貢献しています。また、OCTの性能向上により近年可能になった網膜血管撮影(OCTアンギオグラフィー)が可能な機種(RS-3000 advance)をH29より導入しています。従来の蛍光眼底撮影では必要になる、造影剤の点滴注射なしで血管撮影が可能ですので、造影剤によるアレルギーの心配がなく、より安心な検査ですが、今のところ撮影可能なのは眼底の一部分のみであり、原理的に蛍光眼底撮影でなければ得られない情報もまだ多いため、当院では両方を組み合わせて検査を行っています。

①正常眼 正常眼の網膜は中央がへこんだ形をしています。

②黄斑浮腫 網膜の中央が膨らんでいるのが断面でよくわかります。

③緑内障 網膜断面の層別解析から、左上画像で網膜の下半分の青い部分は神経線維が減って薄くなっていることを示しています。

④血管撮影 複数枚撮影したOCT画像から血液(血球)の位置が変わっている部分を検出することで、結果的に血管が描写されます。


  OA-2000 OA-2000
○光学式眼軸長測定装置: OA-2000 (トーメーコーポレーション)
白内障手術の際には混濁した水晶体を除去して人工水晶体に置き換えますが、その人工水晶体の度数を決定するのに使用します。 当院では従来より非接触で測定誤差が少ない光学式装置(IOLマスター:カールツァイス)を採用していますが、令和2年からOA-2000(トーメー)に変更しました。光学式装置の弱点は角膜混濁や高度な白内障など、光の通り方が弱い条件下では測定精度が下がったり、測定不能にもなることですが、OA-2000は光学式ですがOCTと同様のフーリエドメイン方式を用いており、高度な白内障でも高い精度で測定可能になっています。 従来から使用されているAモードエコー(超音波方式で、接触型ですが完全に光が通らないような白内障でも計測可能)も併用して、できるだけ誤差が少なくなるようにして人工水晶体の度数を決定しています。
○走査式前房深度計: SPAC (タカギセイコー)
前房隅角が狭い方は閉塞隅角緑内障を発症する可能性が高くなりますが、この前房隅角の深さを定量的に示してくれる装置です。閉塞隅角緑内障発症の危険度をある程度予測できるので、適切な時期に予防治療に入ることができます。
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