翼状片も、長く様子を見すぎると手術をした後も視力障害が残ってしまう、手遅れの状態を起こしうる疾患です。
結膜(白目の部分)の組織が異常に増殖して角膜(黒目の部分)に入り込んでくるのが翼状片です。これは自分で鏡でみて確認できることも多いと思います。紫外線が関係しているといわれ、外で日光によく当たる人に生じやすいとされます。大きくなって角膜の中央まで入りこむと、瞳孔に光が入るのを妨げるために視力が落ちます。また、翼状片が張り付いている部分がつっぱることで、角膜が変形して乱視を生じます。これは眼鏡では補正できない乱視(不正乱視)になるため、視力が落ちたまま戻せなくなる原因になります。
手術で除去するのが治療方法ですが、再発も多いとされるので、上の写真程度の小さいものは乱視にも影響がないため、充血やごろごろするなどの症状がなければそのまま様子を見ることも多いです。
瞳孔(黒目の中央)まで入り込むほど大きくなると、光が瞳孔に通る邪魔になることと、乱視が出ることから視力が落ちます。翼状片を手術で除去したあとも角膜に痕跡が残ることが多く、これも光の通り道を邪魔するために、あまり大きくなってからの手術では視力が回復しないこともあります。
このため、翼状片が瞳孔に入ってくる前に除去することが大変重要です。上の左写真は翼状片が瞳孔にかぶさる状態になってから来院された例で、手術で除去(右写真)されていますが、痕跡や角膜の変形による乱視のために光の通り方は十分に戻りません(翼状片の後遺症ということになります)。この方は白内障の手術も行い、視力は(0.02)から(0.7)まで改善しましたが、それ以上の改善は難しいと思われます。